【R元】スマートシティ|赤字435億円の南砺市が考えるべき財政と風土の最適化

人口約5万人かつては繊維産業や彫刻など伝統工芸が盛んで、豊かな水田を誇る街。南砺市とは、つまり日本全国どこにでもある一般的な地方の田舎町です。

参考: https://ja.wikipedia.org/wiki/南砺!

昭和後期つまりバブルのころまでは、伝統工芸にせよ、農業にせよ、日本全体の景気の押上にのり、そこそこいい感じで稼げた8つの地域が合併してできたのが現在の南砺市です。

目次

「南砺市は、435億円の赤字です」

田中市長は、自ら大胆なフレーズで参加者に問いかけました。


行政は何もできない、このことを皆さんに理解していただきたい。
地域の所得循環構造に注目している、南砺市は435億赤字。

デジタル南砺研究会・田中市長談-

デジタル南砺研究会冒頭、そして締めの言葉で、田中市長は自ら「強烈」な言葉で参加者に対し、まちづくりの危機感を迫りました。

市長には、南砺市がどのように映っているのか?

今後のビジョンはどこに向かうのか?

何が問題で、課題なのか?

このあたりのことを、まずは、田中市長自らの言葉で南砺市の実態について、その一部始終を掲載します。

田中市長が語る、南砺市について

田中市長の願い

南砺市としてはですねこれ5万人の町で、そして、15年前に4町4村が合併した、まさに日本の地方の新しい町のモデルといいますか、

「いい意味でも、悪い意味で言っても人口減少する」

そして

「公共施設を再編しないと未来はどうなるのか」

ということを、

早目早目に市民の皆さんにお話をしてお伝えをして、「公共施設の再編」だとか、「行財政の改革」ということをやっていかないからなければだめですよということをですね、こうなりますよというようなこと(将来予想)を発信をしてきた。

町です。先ほど少し縮小と拡大とかっていうところにもあったと思うんですけれども。

真面目にそれをやっていかないと未来はないとこういうふうに私は思っていますし、

「合併した地方都市のあり方っていうものを
 全国に発信できるような町を作っていきたい」

と強く願っています。

土地利用の現状や課題

今人口が5万人で668平方キロの面積を人口分布だけ見ると、多分3割とか2割ぐらいのところに皆さんがお住まいであとほとんど山っていう町。

これはもう5万人規模で全国にこういうまちがたくさんあるわけですね。

そういったところののモデルになるような町作りをしていかなければならないというふうに思ってまして。そして先に必ずや未来はあるということを実証していきたいと
このように思っています。

10年前にまずは高齢者の方々は、例えば認知症になられる方もしくは介護が必要なられる方について、とにかく温かい家庭で、看取りができるといいますか家庭にいられるまちを作りましょうということで、

「地域包括ケアシステム」

と言うのを南砺で作った。

今10年ぐらい過ぎました。
相当、全国的には有名になりましたけれども、これから

「まだまだ高齢化が進んでいく」

というところをどうケアするかで、今後問題は「情報」とか「交通インフラ」、このあたりをどうするか課題はあります。

それともう一つ、今度はこのあと公共施設再編の話は課長からありますので、それは割愛させていただきますけれども、「これからより高齢化が進んでいく町」をどのように地域が作っていかれるのかもしくは作っていけないのか、そういったことをやはり考えていかなければなりません。

例えば地域の再編とか何とかっていうのはこれは結果的に行政が言ってできるものではございませんので、ある意味その地域の住民が住民自治として、何がその地域に必要で何がこの地域の課題なのか地域の未来はどうなるのかということを真剣に考えていただくということが大変重要だと思ってます。

3年ぐらい前から住民自治のあり方というものをまさに自治振興会の人たち、町内会の人たちにデータをお見せして今のまま何もやらなかったら人口はあなたの地域はこうなりますよ。

今これをやると頑張れますよっていうようなお話をしながら、住民自治のあり方を模索してまいりました。

小規模多機能

今年の4月から住民自治の手法を小規模多機能自治という手法で新たな「まちづくり協議会」に移行するという作業を今住民の皆さんでやっていただきました。

31の自治振興会の中で今28のまち作り協議会が立ち上がりました。

「まちづくり協議会」というのは

「公民館」と「地区社協」と「自治振興会」が一つの団体になる

ということ

ですので、
「従来の住民自治」がまさにその部会部会の中で課題を解決できるような
仕組みにだけはまずはなったということです。

介護通所

その中で今、二つしかなかった「介護度通所型のBタイプ」っていう住民自治で介護をして、要支援の部分を担うと。

こういうことが国の方で制度化されてましたが二つしか立ち上がっていなかったものが今年で多分あと五つ立ち上がります。

そういう方々とどのように行政がサポートできるかということを(すすめていく)。

公共交通

それは先程申し申し上げましたが、公共交通も含めてなんですけれども。公共交通のあり方っていうのは

「コミュニティバスだけでは無理だ」

ということで、

いかに
「住民の皆さんにも担っていただくか」そういったことも今後考えていかなければならないということです。

地方創生のその後と人口減少対策

それともう一つはですね、一番大事なことは地方創生っていう言葉があって5年経ちまして、全国で地方創生総合戦略で成功した町っていうのは、数えるほどしか実はないって言われています。

(南砺市の過去)5年間では成果が出てきてませんけれども、これから

「成果を出すためにどうするか」

っていうのが第二次の地方創生総合戦略になると思っています。

一番最初に失敗したのは
「出生率を高めましょうよ」

人口減少を止めるためにはどうしても何か欲張って(いた)

嫌いな言葉の中に「産めや育てや」みたいなことばかりが日本の国中で出てきたので、これではいけないと思っております。

ですから今度は子育てだとか、まさに今日外国の方々も南砺氏にお住まいですし、もうまさに多様性を認め合うような地域社会を早めに確立をしないと、そういうところじゃないと(いけない)

「若い人たちもしくは子供たち」がそこで育ちたいという町を作っていくということが大事だと思ってまして、教育だとか保育だとかそういったところが地方でなくては(まちづくりが)できない。

そういったことを今から真剣に取り組んでいきたいと思っております。

田中市長のビジョン

最近言葉の中でよく皆さん聞かれてると思う思うんですが、

「被認知能力」

を、幼稚園、小さいときから育て上げるような教育はどうあるべきか、それと継続して中学生高校生までの間にそういった本物をどう理解して、そして多様性を認めるような人材を育成できるのか

ここにも(まちづくりは)かかっていると思っていまして、いろいろと試行錯誤しながら取り組んでいきたいと思っています。

最近「SDGs」に申請をしておりまして、これが通れば中に非常にわかりやすくなります。 環境的には

「エコビレッジ構想」

というのをやってきましたたし、いろんな意味で、エコロジーとエコノミーといろいろと絡み合わせてやってます。

今日いろんな方が来ていらっしゃいますが、「自治体のSGDs」ですので、住民の皆さんとみんなでどう「持続可能な地域」を作るかっていうことが大事です。

「幸せ未来基金」
という民間の皆さんのファンドも動き始めました。

これは環境のところで「エコビレッジ」、そしてこの「地域包括ケア」も立ち上がっております。

「小規模多機能」の住民自治もできました。

そして、支援していただく民間の支援団体が今日もお越しですけれども、
「支援組織」も立ち上がりました。そういったところで新たなまちづくりを進めていくという段階に来ております。

田中市長からのお願い

そこでもう1回皆さんと考えているのは、

「行政というのは何もできないんだ」

ということを住民の皆さんにわかっていただきたいと、
こういうふうに思っておりまして、

町は行政が何もできないんだ
と思ってもらった方がいいなと最近思っております。

余りこれ以上過激にいうとちょっと余計なことになりますけども。

とにかく何かあったら何かあったら行政はちゃんとフォローしますので、

「住民の皆さん」もしくは
「地域の皆さん」、
「企業の皆さん」で
「こういうことをやりたいんだ」

っていうところを何か我々がバックアップできるような、そういう仕組みに作っていくことが「持続可能」に繋がるんだろうというふうに思っています。

皆さんが今日勉強をして、そして、課題もいろいろあると思いますけれども、この中で議論をして、そして新たな町作りの「手法」もしくは「ツール」を何か提供をいただいたりもしくは情報を提供させていただいて新しい町作りの手法を考えていきたいなというふうに思います。

終わります。

(デジタル南砺研究会冒頭、田中市長による「南砺市の概要」より文字起こし、一部語尾や重複する内容を筆者判断にて編集。)

デジタル南砺研究会

5万人都市の現実を可視化する

人、金、情報、が足りない、物(主にハコモノ)だけはある。そんな現状が日本の田舎の現状で、やはり南砺市も該当する。

地域がこれからどうやってこの街のシステムとそこに住む人々の歴史や伝統、所謂風土を守っていくのか、あるいはいかないのか。

今、南砺市では任期4期目を迎える田中市長のもと、様々な決断をこの5万人の市民全員でもう一度考えよう、そういった動きが小さくしかし着実に進み、その一つがデータを使ったまちづくり(スマートシティ)を推進するデジタル南砺研究会です。

データや根拠に基づくまちづくりをテーマに活動する南砺市が主催するデジタル南砺研究会。2000年に始まった日本の情報革命は、ローカルエリアにどんなメリットをもたらすのでしょうか?

データは風土をつくれるか?

データを根拠としたまちづくり、こう言われると一般的には冷たく、人情にかけるものではないだろうか。研究会では、もちろん、人口減少に伴う、施設運営の最適化で行政コストを削減していくこと、縮小するまちに対応するコンパクトシティ構想など、現実としての課題を議論する。

しかし、効率化の対面には風土というやっかいな問題も残ることは事実である。

風土に対する意味付けは場面場面で変わっていく。今議論されることの中心にはやはり財政と風土のバランスの最適化という視点があるだろう。

風土とは、市民がつくるものだ

今年度の研究会はまだ始まったばかり、これからは議論されどちらに進んでいくかはまだわかりませんが、極論としては効率化と風土の共存バランスに落ち着くと思っています。

つまり、現実としては財政負担は限界で少しずつ公共施設や補助金などはなくなっていきます。目的は税金面での最適化です。冷たいようですが、これは現実論として無い袖は振れないのでどこかで線引をせざるを得ない問題で、南砺市のステークホルダーは全員が助け合いの元自分ごととして妥協点を探す活動を大局的にすることになります。

一方で、ステークホルダー側にアイディアも実行力もなければ、財政負担の現実論は覆らず、すべてが削減されシンプル化し最適化された場所へと地域は変容するはずです。そして、結末はどの地域へ行っても、財政システムだけに最適化された、同質の地域に風土ごと集約されていくでしょう。そのほうが効率が良いのですから。

感情論としてなんとなく嫌だなと思う一方、グローバル経済の観点から見ても、どこにでもあるものだけで作られた単純なまちに、誰か興味を持ってもらえるか、これだけ選択肢がある現在において多くの世界の人々に知られることもなく忘れ去られ消えていく、そんな結末が見えてしまいます。

だからこそ、一見大したことがないように見えても、やたらとお金がかかったとしても、残すべき風土というものも、必ず地域ごとに存在しているはずです。特に、日本の文化は世界中でも異質なほどにハイカルチャーとして、普通のレベルが高い水準で地域に根付いています。

市民は財政負担に対して、攻めの姿勢で、逆境をプラスに変換するような努力をするべきだと、一市民としても考え感じています。

デジタル南砺研究会

無理をしないまちづくりのためにデータを使ったスマートシティづくりの研究をしている。 デジタルシティ研究会は南砺市からはじまった。

大企業に頼る形から、全員が協力することが大切と語る関本准教授(東京大学)

テーマは「流動の最適化」

「データは、思い通りにいかないまちづくりの課題を、ボトムアップで拾えるもの。」 都市における人の流動をGPSで捉えることから関本准教授の研究ははじまった。

関本准教授は、 「同意も必要、協同することが大切」 と、行政だけでなく、広く市民や企業が関わり、同じデータから議論することの重要性を訴える。

また 「最近は、生産技術を使ったまちの行動変容、生産性向上もはじまっている」

日本で、もちろんその一部である南砺市では人口減少が喫緊の課題として浮かび上がっている。人が減って、施設が残せるかどうか?コンパクトなまちづくりはどうすればいいか。 行政コストをどう下げたら運営できるかが焦点である。

風土と最適化

公共施設再編計画で50億円の削減する必要性が、行政側から各地域にもちかけられ、市民側からのアクションを促す活動「まちづくり検討会議」が運営されている。昨年提言書がまとめられ、今年度具体的な削減計画を市民側が提示することを目指しているが、現場では混乱が生じている。

デジタル南砺研究会は、その混乱を解決するもう一つの方向性になるかもしれな。

実際のところ、まちづくりとは歳入と歳出のバランスを最適化する計画のことだ。どんなに素晴らしい案も、財政ありきでしか実現する方法は無い。
もちろん、その計画を実行する人々の感情やモチベーションなしにはどんな計画も単なる皮算用に過ぎないのだが、私たち南砺市民には「現実」という高い壁が立ちふさがっている。

そして、財政シミュレーションには、将来予測がかかせない。

この点、私たちはまだ見ぬ、あるいは江戸時代と同じような人口密度の社会をつくらなければならない。

国交省が提唱する水準を前提とし、財政の範囲を守ったまちづくりとするか、あるいは政策をある意味で「いい(良い)加減」に適用させるか、をシミュレーションし、最適解を求めることを昨年検討してきた。

技術の進歩で公共施設の利用者数もシミュレートできるようになりつつある。データが示す具体的なイメージを通じて、市民ともまちの未来を考えるアプローチで、南砺市の市民の気づきにデータがどう影響できるかを考えるのがデジタル南砺研究会の目指す議論だ。

参加者からの質疑応答

Q. 清部さんより 公共施設を再編していく際に、リアルタイムでコスト試算、例えば「〇月に建て替えるなら△△円かかる」みたいなものが出せるようになりそうでしょうか?

A. 小俣・関本 機能としては年ごとぐらいでは出せると思います。ただ、行政の処理等もあるのでシステムだけでできるかどうかは検討する必要があります。

Q. 山瀬さん 行政区分というよりも集落や町内会という単位で5年後、10年後のシミュレーションができるのでしょうか? 

A. 関本 貴重なご意見、ありがとうございます。大切な視点だと思います。ただ、ネガティブな結果があった時にどうやってうまく伝えていくかというのもポイントだと感じます。

A. 市長補足 小規模多機能自治体のデータを伝えたときは、やはりショックを感じる人もいらっしゃった。ただ、ショックを受ける人は家族の誰かであり、誰に伝えるか、どう伝えるかは大切。イメージだけではなく数字で伝える。

A. 関本 データ処理する単位として小規模多機能自治体、集落、営農組織などを考えていくことは大切だと感じる。

Q.坂岡さん まちづくりというときに効率化・最適化だけではうまくいかないこともあるかと思います。その最適化できない部分をどう扱えば良いのでしょうか

A.関本 最適化にも制約条件というものがあります。また、最適化についても数々ある指標には重みづけがあると

Q.具体的に言うと、井波彫刻や五箇山の和紙、城端の曳山など今は売れていないけど、ポテンシャルがあるものもあると思います。これをうまく指標化することができると良いと感じます。

まとめ

いかがだったでしょうか。今後当社ではデジタル南砺研究会、そのほか南砺市のまちづくりに関する各種委員会の動向も踏まえた、まちづくりの様子を取材し、配信していきます。

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